いずものブログ

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子供対象のお仕事体験会

少子化で国内の人手不足が課題となっている中、地方の島根県も同じ課題がある。とりわけ人口が少ないこの県では、人手不足は県経済の衰退に繋がる大きな課題だろう。

一方で、画一的な生き方ではなく、多様な生き方を目指す社会風土が少しずつ地方にも芽生え始めている。親は子供に期待してしまうのは、いつでも変わらない。

外は豪雨。大人も子供も遊び場所の無い島根県。遊び場を求めにやって来た親子も集まり、子供達のお仕事体験会が始まった。

 

参加した感想。僕は満足。良いイベントだったと思う。しかし、残念なところもあった。

 

1)世界観が不明瞭

子供だけの街。そんな街を会場に作り、子供達が主役になって仕事をこなす。仕事の役割を通じて、職業に興味を持ってもらう。イベント後に知ったのだけれど、このイベントの対象は小学生4~6年生。しかし、肝心のお仕事のやり方、受け付け時間まで、子供用のものはなし。主催者の世界観を唯一守る大人が入ってはいけないキッズワールドの境界線も床に貼られたテープだったので、開始直後に越境されてしまった。受け付けではこのルールを厳守するような教示もないし、各ブースもそのような配慮も無い。管理するスタッフも少なく、会場は親子でごった返していた。

 

2)相互の目的に違い

子供の街で使える仮想の通貨ナルク。お仕事すると、報酬として作業時間×10のナルクが貰えた。このお金を使って子供の街で買い物をして、働く意味を知ってもらう、そんな趣旨だと思う。実際は親子に別れて三時間待ちの行列に並び、イベント終了1時間前にはナルクで買える商品も少なくなり、会場は混沌としていた。お金が紙切れになってしまうのだから、主催者への不満を爆発しながら親子とも必死に並んでいた姿が残念だった。主催者はどのように捉えているのだろう。

 

自分ならこうしたい。

1)世界観の目的を明確にする

子供の街の世界観は共感できる。子供に職務に触れて業界を選択して欲しい企業と子供に未来を意識して欲しい親の感情が一致していたから、事前申込みに1500円掛かるにも関わらず、1000人の定員はいっぱいになったと思う。ところが、本来は小学4年生以上が対象のイベントは3年生以下の子も多量に参加し、二倍の人数になったんじゃないだろうか。子供の街の通貨ナルクも、ものすごく発行したのだと思う。このイベントの目的は仕事を選択する思考を定着させること。定着の手段に子供の街の構想を加算したはず。ところが、保護者はそうではなかった。イベントの開始早々、子供の街に入って孫にカメラを向けていたおじいさんが印象に残っている。大半の保護者は小学生に何が分かるかと言う姿勢だったのだろう。もちろん遊びから子供が興味を持ってくれる場合もあると思うけれど、保護者はもっとイベントの目的と子供の未来を考えて参加するべきだったと思う。

 

2)企業の意識に緊張感を

子供相手だから教えて行動を促すだけで労力だったかもしれない。確かにある程度の年齢を越えないと子供は言うことを聞かない。何をしていいか分からなくなってしまう。だから、子供が自発的に行動できる仕掛けが必要だった。看板の高さ、文字の大きさ、フォント、分かりやすい説明、楽しそうな雰囲気、楽しそうな音楽。サービス力をいかんなく発揮できるばだったはず。保護者も来ているのだから、サービスを監視されていると思わなかったのだろうか。良い機会と思っていれば、子供を三時間待たせるなんて考えず、臨機応変に対応して回転率を上げていたはずただ。唯一、農場のプリンやさんは、玉子の自社広告に事前に受け付けたかを書いて、イベント開始前に提示すればOKという神対応を実施されていた。これなら待ち時間は自由だ。自社を売り込みながら、好きになってもらう。本当にすごい。就職したくなった。若い女性の機転が光っていた。

 

1人1500円で参加できるイベント。参加費も安く、子供は貴重な体験ができてイベントとしては、大成功だっただろう。恐らく参加者も想定以上で収支も黒字だったに違いないと思う。一方でリピーターは少ないと思われる。頑張って稼いだお金の使い宛がなくなってしまいそうになったのだから、タダ働きされそうになったと思った親子もいただろう。

 

個人的にはとても楽しめた。次回参加するときは飴とおにぎり、飲み物を事前準備して望みたい。